その65 |
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甘える前に |
よろしかったら感想聞かせてください〜 |
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「〇月〇日が俺の誕生日なんだ。 何かちょーだい?」 知り合ってまだ日が浅い、まだ友達と呼ぶにも躊躇してしまう君が言う。
なんだか不思議に感じ、真剣にマジマジと目を見つめる。 恥かしさの破片も見えない・・・。「空は青い」などと当たり前の事実を話すようにそんな事を言う。 ふしぎ・・・。
「なぁーなんでも良いからちょうだい? デジカメなんかが良いなァ〜」 と君が笑う。 私は笑えずにいる。
そういう事を屈託の無いフリをして言う男性に限って、私の誕生日を聞いてくる事が無い。 不思議で不思議で不思議でしょうがない。 自分に誕生日がある、ということは私にも誕生日がある・・・ということで、よっぽど何か、ものすごい理由でも無い限り、年に一度みんなに平等に誕生日が来るわけで・・・。
考えれば考えるほど分らなくて、目の前にいる君をアホのように見つめてしまう、ジロジロ。
どうして・・・私の好きな男友達や女友達はこういう事を言わないのだろう? こっちがつい誕生日をド忘れしてしまい「ゴメン、いつだっけ?」と聞いても「え、いいよー」と遠慮する人がほとんど。 私もそっちの部類だと思う。 聞かれてもいないのに、自分の誕生日を誇示して「物が欲しい」と言った事が無い・・・。
この対等では無い関係。 相手に一方的に何かを求める関係に不安を覚えないのだろうか?
「あのさ、おととい、私の誕生日だったんだ」
と言うと。 一瞬困った顔をして「おめでとう」と小さな声で言い、そのまま違う話をはじめた君。 それきり自分の誕生日の話すらしなかった。
本当に不思議だ・・・
なぜ? すぐに人に甘えるのだろう? 甘える前にもっとすることがあるでしょう?
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