その1

 

目覚まし  



 あまりにも好きな人と一緒に夜を過ごすと。 私はほとんど眠れない。
 グッスリと隣りで寝ている男の気配を感じながら、ウトウトとし、相手の身動きや、大きな吐息などで一々目を覚ます。

 でも、それは別に嫌な事ではなく、逆になんだか、満ち足りた睡眠不足ではあるのだけど。 「うー、寝不足だと
明日の朝、酷い顔になってるよー、アップで見られたくないよー」等、
思ったりもするのだけど。
 眠れないのだから仕方がない。

 朝、外が白々としてくるぐらいまで、私は浅い眠りと、暗がりでジッと周りの空気を見つめる事、寝息に耳を澄ますことを繰り返す。
 でも・・・外が明るくなってきたら、こっちのもんだ。

 ソッと布団の中に潜り込み、私に向いている背中に、上の方からキスをしていく。 ドンドン、少しずつ、右に行ったり、左にいったり、横道にそれながらも、湿らせた私の唇と舌は、少しずつ少しずつ、布団の奥深くに確実に潜り込んでいく。

 腰の二つのくぼみの周りを3周したら。 そっと、両手に力を込めて、彼の体を上向きに変える。

 今度は、右側の前面だ次ぎは、左側の前面真ん中の前面の胸ぐらいで、彼は目が覚めて、私の頭を抱きしめるだろう。
大きな甘いため息をつきながら

 そしたら、私は、その手をふりほどいて・・・
つま先に降りていこう。

ほら、もっと目を覚ませ

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