あんなに好きだった歯並びが、ただの歯にしか見えない。
あんなに好きだった耳の舌触りが、ただの耳にしか感じれない。
あんなに好きだった彼の話が、私の心に届かない。
そうなってしまった理由を私は多分、知っている。
魔法の言葉の逆、じゃないけど、たった一つの言葉。 それも全く、彼も気にしていなかったであろう「一言」が、私の気持ちに「妙な後味」を残し、それが時間がたつにつれて大きく育っていった。
そして、いつの間にか、私の気持ちは醒めてしまった。
たった「一言」だったはずなのに。
私は、どうしても納得が行かなかった。
彼は、きっと未だに気付いてはいないんだろう。
どうして私の気持ちが突然離れてしまったのか?
私も説明はしなかった。 上手に話せる自信が無かったから。
その一言とは・・・
「そういうものだよ男ってやつは」
だった・・・
たったそれだけ。 それだけの言葉・・・が、私の気持ちを干からびさせた。
「男」という性別に逃げて欲しくは無かった。
「個人」「彼」として、その事柄について話して欲しかった。
「男だから」で責任逃れして欲しくはなかった。
「俺は、そういう性格なんだ」
だったら、受け入れていたんだろうか?・・・
多分、大丈夫。
でも「男」という、人間の半分を占めている「性別」で自分の特別な思いを正当化して欲しくは無かった。
男である前に、あなたでいてほしかった
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