その16

 

一夜妻

 

 一晩限り、ワンナイトスタンド、やり逃げ・・・色々ないい方があるけれど。 一晩限りで終わる恋、肉欲、愛についてここ最近考える時が在る。 きっかけは、ある人との会話だったのだけれど。

 

 一晩限りで昇華できる恋。 それはそれで、凄いことなのかもしれないな・・・と思う。 それは「恋」と呼んで良いのかどうか? 私には良く分らないけれど。

 

 あるHPのBBSでこんな風な事が書きこんであった。「ある日、街角で道に迷った女性に道を教えてあげた。 そして、ヒョンなことからその女性とホテルへ行った。 とても素晴らしかった。 ホテルを出るときに、彼女は、もうこれっきりよ。 と言い、僕の教えた道のほうへ歩いていった。 どうしてもその女性が忘れられない。 どうすれば会えるのだろう?」

と、そんな感じの事だった。

 私は、「へー、その女性やるじゃん」と思った。 でも・・・「私には出来ないな」とも思った。

 

 なぜ出来ないか? 考えてみる。

 一夜だけで満足して、もっと・・・とオネダリしないほど「できた人間では無い」という事。

 一夜を共にし、一緒に快楽を貪った相手に「これで終わりだ」と、後を引かれない・・・という事を、素直に受け入れられるほど自分に自信が無いこと。

たぶん、この2点の問題なんだと思う。

 

 セックスをするときに私が必要だと思う「愛情」は、ある意味「保険」だ。 なんども同じようなことを書いてしまうけど・・・。 コトが済んだ後に、それまでお互いに持っていた「肉体的な欲求」を満たして得てしまった後に、どういう顔をして何を話せばいいの? 私には想像ができない。

 

 こんなことを書いていると「それはしたことが無いからだ」と言われそうなので書いておくけれど。 したことあるんでした。 すみません、産まれてきてごめんなさい←余計!。

 それは最初から「一晩限りで」と決めたわけではなく、色々な事情から「1回きり」になってしまった・・・と言った方が正しいかもしれない。

 そりゃーそりゃー虚しかったです。 気持ち良く無かったのか? ときかれると「そう言うワケでは無いけれど」という感じ。

でも、アノ程度の「気持ち良さ」にあんな「自信喪失感」というか・・・「あー、私っていったい・・・(頭抱える)」みたいな副作用というかオマケが付いて来るんだったら・・・ハッキリ言える「んなのいらない」。

 

 愛情は、ソノコトの後に「しあわせ」を感じられる保険だ。 ここにいて良かった、産まれてきてよかった、おかーさん生んでくれてありがとう・・・。 と感謝の気持ちさえ生んでくれる「保険」だ。

 その保険無しに、裸になる勇気を私は持ち合わせていない。

 

 たとえば、BBSに書きこんだ男性の相手をした「謎の女性」は、本当に楽しんだのだろうか? 「思い出」は出来たと思うけれど。 そういう細切れの思い出を重ねることで、自分・・・と言うモノが崩壊したりしないだろうか?

 

 もしかしたら・・・「保険」も無く、火事場に飛びこめる人のように、とても勇気のある女性なのかもしれない。 心の中のことを見なければ。

 

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