その29 |
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都合の良い女 | |
都合の良い女。 よく聞く言葉だ。 既婚男性と付き合っている女性、彼女がいる男性と付き合っている女性にアドバイスめいて言われる言葉だ。 でも・・・ほんとうに都合の良いだけの女なんているんだろうか?
モノをねだったりしない、デートは割り勘、セックスを出し惜しみしない。 そんなところだろうか? 都合の良い女の条件って? 私、そんなだった時・・・あるなぁ(笑)。
1度だけ既婚のかなり年上の男性と付き合っていたことがある。 その時はまさに「ソレ」の条件にぴったり嵌っていた。 彼の「家庭」や「奥さん」に恨みがあったわけではないので、家に電話するのは「絶対に大丈夫」なときだけ。 デートの時は、お互いに奢ったり奢られたり。 理由は2人とも貧乏だったから。 機会がもてる限り、抱かれてもいたかったので、ベッドのある場所で会えるときはかならすセックスをしていた。 ものをねだったことも無い。
ただ、自分を「都合の良い女」だなんて蔑んで悦に入ることは無かった。 だって、その当時、その彼氏は、私にとって「都合の良い男」だったんだもん。
結婚に憧れていなかった私は「家庭」に興味がなかったし。 常に一緒にいたいなんて言うような男性はゴメンだった。 ついでに「結構長くつきあってるよな」っていう理由で「そろそろ」とかって結婚をチラつかせるような男にも興味が無かった。 私には私のやりたいことが常に目の前にあるか、常に探しているか? どちらかの状態が普通だった。 恋愛だけが全てではなかった。 寂しがって、拗ねるような男性はちょっと苦手だったのだ。
そういう私にとって結婚をもうすでに手に入れていて、壊すつもりの無い男性・・・というのは非常に都合が良かった。
ほかの部分「お金」という面では、お互いイーブンだったと思う。 どちらもお金が無かったから。 彼は「描けない絵描き」で、定収入を持っていなかったのでヤリクリが大変そうだったし。 私は、まだ学生でバイト代が全てだった。 欲しいものは、自分の手の届く範囲で手に入れたし、入らないものは諦めた。 それは、誰と付き合っていようと、いまいと同じ事だ。
私達は、普通に出会って恋をして、普通に別れた。 それだけ。 私は都合の良い女だった。 だから、私にとって都合の良い男の彼がくっついた。 たった、それだけ。
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