その35

 

カニバル  

 

 おいしい料理、おいしいお酒。 それは生きて行く上で時には楽しい事だけど。 時には、私を喜ばせてくれるものだけど。

 

 今、私が欲しいのはもっと新鮮なもの。

誰の手も、間に加わっていないような素材。 それを鷲掴みで味わうように。

 

 あなたの体から湧き出す色々な濃度の水を飲み、脈打つ肉に舌を這わせ、皮膚の下の軟骨を歯ごたえで確認したい。

 

 だから、そういう風に私に接して。 二匹の飢えた肉食獣のように。

 

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