その58

 

フェチる  

 

 

 フェチ、フェティッシュ・・・Fetish 性的到錯。

 

 一番有名というか知られているのは「足フェチ」とかだろうか? ほかにもパッと浮かぶのが「パンストフェチ」「巨乳フェチ」「ハイヒールフェチ」・・・色々とある。

 人とはちょっと変わったものに性的興奮を覚える。 というのがフェチの原点なのだとしたら、足フェチというのはそろそろ「フェチ」では無くなってきているんじゃないのだろうか? だってあまりにも、マジョリティになってきてしまっていて「数奇性」に乏しいもん(笑)。 今更「俺、足フェチで」と聞いても「あっそうなんだ」としか思えない。 「へー」と引くことも無い変わりに「それでそれで?」とツッコミをいれる事も無い気がする(「俺、足の指の皮フェチなんだ」って言われたら、かなりつっこむと思うけど。)

 

 「めずらしい」もの、アクの強いもの、普通の人では中々愛せないものを選ぶからフェチなんだろう・・・とすると・・・アクが強ければ強いほど「フェチっぷり」が上がるような気がする。

 

 食べ物で言ったら「納豆」は確かにクセはあるけれど、もうすでに多くの人に愛されてしまっていて「フェチ」対象(性的という意味ではなく・・・偏愛とでも言いましょうか?)には弱すぎる。 

 魚で言ったら・・・クサヤとかホヤの内臓とか、そんなところが良い線行っているだろうか?

 

 果物で言ったら、ドリアンだよね。 あれぐらいのインパクトが欲しい。

 

 最近、熟女ばやりなんだそうで、男友達が「俺、迷うと熟女ビデオ(オナニー用)借りちゃうんだよね。 女子高生ものよりハズレ無くて良いんだよー」と言っておりました。 ほぅ、なるへそ。

 そうなると・・・熟女フェチ?

 

 味の濃い、クセのつよーいモノに「ハマル」ことを良しとするのがフェチの王道だとしたら、こんなのはどうだろう? 実際に私が目撃した女性なのだけど・・・。

 

 去年の夏、まっさかり確か8月だったと思う。 私は台北にいた。 仕事だったのだ。 普通に仕事をして、昼はランチに1時間ばかり外にでる。 という生活、まぁ、どこにいても同じような生活をしていたわけだ。

 その日も、同じように外に友達と出た。 近所にある屋台でお昼を済ませてしまおう、そのあとスターバックスとかでゆっくりお茶しよう・・・って魂胆だった。 まぁ、屋台のほうが安いし、早いし、おいしい。 栄養も結構バランス良く作ってくれている。 ただ、夏の台北の屋台は・・・あっつい! クーラーなんかもちろん無いし、汗流しながら食べるような状態だ。(周り陽炎が立ったりしてるしね・・・とほほ)

 

 私達が座っている目の前の席で、50代ぐらいの女性が一人で黙々とパイクー麺(とんかつ風のものが麺の上に乗ったもの)を食べていた。 額から・・・というか、体全体から汗がにじみ出ているような感じだった。

 

 パーマが取れかかった中途半端な髪、袖なしの白いブラウスから見えている二の腕は脂肪が垂れ下がっている。 顔からは汗が噴出し、化粧がところどころ剥げている。 でも・・・一番、私の目を捕まえて離さなかったのは、そんなところでは無かった。

 袖なしのブラウスから出た二の腕の付け根、そう、つまり腋の下から毛がチラチラと見えているのだ。 剃っている様子もないし、それを隠す様子もない(だいたい袖無いじゃん!)。 フツーに腋毛が見えているわけ。(&剛毛、ジャングル)

 

 なんだか、ショックだった。

 

 そして、なんとなくその腋毛から目が離せなくなっていると、彼女のブラウスの胸元からチラッとブラが見えた。 

真っピンク!

 冷静に見てみると、白いブラウスからはピンクのブラジャーがほとんど原形が分るぐらいに透けていた。 それすらも気にしていない模様。

 

なんか、すごい。

と思った。 

 

なんか壮絶。 

と思った。

 

 熟女が好き、熟女フェチ・・・っていうのだったら、こういう女に入れあげてみんかい! と。 これが本当の熟女だろう! と。

 まさに彼女はドリアンではないのだろうか? と。 思うのだ。

 

 実は、私が、同性として彼女を観察してしまったのには理由がある。 ものすごく「エロ」を感じたのだ。 セクシーさとかそんなものではない。 だいたい、本来のセクシーって、ものすごく清潔感のあるものだと思うのだ。 それよりも、もっと生々しくて生活感があって強い「エロ」だ。

 

 汗まみれでラーメンをすする、暑苦しい感じの中年過ぎの女性。 からだの線は崩れかけていて、腋毛すら、ブラジャーの色すら気にしていない女性にものすごくエロを感じたのだ。

 あれは、たぶん、生命力なんだと思う。

 

 ああなりたいのか? と聞かれたら、思いっきりクビを振って「カンベンしてください」と言ってしまうだろうけれど。 だいたい、彼女に気がついて「あれ?」と思ってしまった時点で「自覚」が出てしまった私には、ああなる「素質」がすでに無い。 ちょっと悔しいような、うれしいような・・・。

 彼女は確かに、ものすごい存在感(それも無自覚)でソコに存在していた。 私はげんに、彼女が麺の汁を全部飲み干して出ていくまで目が離せなかった。(自分の麺、のびちゃっていたし・・・とほほ)

 

 ああいう本当のドリアン系の女性に嵌ったとしたら・・・。 それはそれで幸せなんじゃないんだろうか? とすら考えてしまった。

 

 フェリーニの映画に出てくるタイプの女性は、この「エロ」というか「強さ」に通じるものを持っている気がする。 みんな、マジ豊満な体を揺らしているし、気が強いし、したたかだし・・・。 これって「母性」の生命力なんじゃないんだろうか? と思ってしまう。

 ちょっと母性が弱い私には、憧れの対象になってしまったりするわけだ。

 あ、もちろん、フェリーニの映画に出てくるのはみんな女優さんなので「美しい」っちうのもプラスされますけど。

 その台北の屋台で見た女性と、フェリーニの女性を写真で見比べたら「全然違う」と思うのだろうけど。 実際に感じる「強さ」とか「エロ」というのには何か絶対に共通点がある・・・とワタクシは思う。

 

 熟女フェチの王道を行こうとするのなら、ああいう女性を相手にするのがやっぱり偉いと思うよ! フェチ諸君!

 って、だれも偉くなるためにフェチるわけじゃないか。

 

 うーむ、いっその事・・・腋毛・・・伸ばしてみようかな?(←やめたほうが良い・・・) 

 

 

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