その62

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パンツのこと

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 下着ごときで、好きな人がちょっと嫌いになったことがある・・・。 あるったらある。 たかが下着、でも下着・・・なんである。

 

 良く、「あなたはブリーフ党? それともトランクス党?」と聞かれる時があるのだけど。 わたし的には「似合っていればどっちでも可! それよりも・・・(謎)」と思う。 男性もよく「女性の下着は白派? 黒派?」と聞かれると思うけれど。 似合っていればどっちでも良いよねぇ? そうでも無いの?

 

 そんな「いい加減派」な私でも「これだけはカンベンしてください・・・」という男性下着がある。

 

 高校を卒業して、1人暮しを始めた。 今まではラブホに行き倒していたのだけど、新しい環境でバイトもできず、1人暮らしでお金も大変・・・ということで。 デートはもっぱら私のアパートを使っていた。 週末は彼氏が泊まりに来るのが「あったりまえ」の状態だった。

 

 一緒に新しい街を散策し、新しいちいさい食器なんかを買ったり。 食材をスーパーで買いこんでは一緒に料理をし。 なんだか「プチ同棲生活」を楽しんでいた。

 当時の彼は、高校時代からの彼氏だった。 週末になると地元から車でワザワザ私の住む街に来てくれていた。 地元に残った彼は、両親と一緒に住んでいた。 

 普通・・・19歳ぐらいの男性のお母さんが、どこまで子供の領域に踏み込んでいるのか? 息子だった経験もお母さんだった経験も無いわたしにはちょっとわからない。

 でも、その元彼は、どうやら「下着」はすべて「お母さん」が調達していたようだったのだ。

 

 「ある日」、までは、別に彼の下着に気を止める事も無かった。 普通のチェックとか、無地とかのトランクスを履いていたのだ。 

 が・・・その「ある日」。 私達は食事を済ませ、なんとなくウフフな感じになっていった。 当たり前だやりたいサカリだ(正当化しちょります、すんません)。

 

 お布団の上でウフフに磨きをかけて、お互いがお互いをまさぐっていた。 私の手が彼のGパンにスルッと入った、その時・・・

 

「?!!」

 

 あれ? 何か違う・・・と思った。 パンツの手触りは通常・・・サラサラのはずなのだ。 それが異常に・・・ゴワゴワする。 気のせいかなァ・・・、ともう1度確認・・・

 

「〇×△‰☆?!!!!」

 

やっぱり変だ!!! 指にあたる感触が、すんごいゴワッゴワッ! その上、布地が変に厚い!!!

 

ちょっとビビリながら・・・控えめに聞いてみた・・・

 

「そのパンツ何?」(←どこが控えめだ・・・)

 

え? と彼はGパンを目の前で脱いだ。 そこにあったのは・・・

ジャァーーーーーーーーーン

 

タオル地(ぞくに言うパイル地)でできた、ヘソまで隠れる、ベビーブルーのブリーフ。

 

でした。 タオル地よっ!! タオル! あのバスタオルみたいなやつ! それもブルーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!はぁはぁ。

 

「おむつカバーみたい」

 

思わず言ってしまった。 言った後に「しくった!」と思ったが。 だって本当にそうだったんだもん(反省の色無し)。

 

 何を思ったのか・・・彼は、スクッとフトンの上に立ちあがり、その「おむつカバーくりそつブリーフ1丁」の姿になった。 そして、唐突に右手を斜め上にピンッと伸ばし、左手の肘を直角に曲げて上げ「ボディビルダーきめのポーズ」を取ったのだ。 その上・・・そのまま・・・クルクルと自転した・・・。

 

 おむつカバーが回っている・・・

 

唖然とした。 笑えるどころか・・・泣きたくなった(これ、マジ)。 

スル気度数は一気に下がり、宇宙のかなたに吹っ飛んでいた。 さっきまで「好き好き度100%」だったのが22.5%まで急降下した。

 

 おむつカバーで回る男・・・それが、私の彼氏なのか(泣)。

 

フトンにつっぷして大泣きかましたかった。

 

 今、考えると。 なんであの時あんなにショックだったのか? よくわからない。 ただ、ボヤーンと覚えている「感じ」は。 あの「タオル地」のパンツの「おむつっぽさ加減」というのは「マザコン」の匂いを強烈にさせていたように思う。 マザコンの匂いは性欲を抹消する。

 

 いくらなんでも「パンツが嫌!」と彼と別れることは無かったけれど。 その後すぐに、他の件で別れが来た。 でも・・・パンツがメインではないものの・・・ボルテージを下げる手助けを多少なりとも手伝っていた。 と私は思う。

 

 たかがパンツ、されどパンツ。 あなどるなかれ。

 

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